- プロ野球のマジックナンバーについて詳しく知りたい
- マジックナンバーの意味や仕組みが分かりづらい
- マジックナンバーの点灯条件や計算方法を教えて!
プロ野球のペナントレース終盤に、大きな話題となるマジックナンバー。しかし、マジックナンバーの仕組みを難しいと感じているプロ野球ファンは多いです。
筆者はプロ野球を30年以上観てきました。マジックナンバーについても把握しています。
そこでこの記事では、プロ野球のマジックナンバーの意味や点灯条件、計算方法や減り方までまとめて解説します。また、歴代最速のマジックナンバー点灯日といった記録もご紹介します。
この記事を読めば、マジックナンバーに詳しくなり、プロ野球のペナントレースを今以上に楽しめます。
プロ野球のマジックナンバーは「あと何勝すればリーグ優勝が決まるか」を表す数字
プロ野球のマジックナンバーは「他チームの勝敗にかかわらず、あと何勝すればリーグ優勝が決まるか」という数字。「優勝マジック」や「マジック」とも呼ばれています。
チームにマジックナンバーがつくことを「点灯」と表現し、マジックナンバーが0(ゼロ)になるとリーグ優勝が決まります。
マジックナンバー=リーグ優勝へのカウントダウンと考えればイメージしやすいでしょう。
マジックナンバーの点灯条件
「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなる」と、マジックナンバーが点灯します。
自力優勝とは
他チームの勝敗にかかわらず、残りの試合全てに勝利すれば、優勝できる状態。「自力優勝が可能」と表現します。
残りの試合全てに勝利したとしても、他チームの勝敗次第で優勝できない可能性がある場合は「自力優勝が不可能」と表現します。
他の全チームに自力優勝の可能性がなくなると、マジックナンバーが点灯。言い換えれば、自力優勝が可能な1チームにのみ、マジックナンバーが点灯します。2チーム以上に同時にマジックナンバーは点灯しません。
マジックナンバーが点灯したチームを「マジック点灯チーム」と呼びます。マジック点灯チームとともに「マジック対象チーム」が存在します。
マジック対象チームとは
マジック点灯チーム以外で、残りの試合全てに勝利した場合、最も勝率が高くなるチーム
マジック点灯チーム・マジック対象チームの勝敗によってマジックナンバーは減少します。
基本的に1位チームがマジック点灯チームに、2位チームがマジック対象チームになることが多いです。しかし、残り試合数によっては、2位チームにマジックが点灯することも。
近年では、2021年10月14日、パ・リーグ1位オリックスと2位ロッテの直接対決の結果、ロッテが勝利し、2位ながらマジック9が点灯しました。
オリックス | 66勝53敗17分け(残り試合7) |
ロッテ | 63勝51敗19分け(残り試合10)→マジック9が点灯 |
オリックスが残り7試合を全勝 | 73勝53敗17分け…勝率.579 |
ロッテが残り10試合で9勝1敗の場合 | 72勝52敗19分け…勝率.581 |
オリックスは自力でロッテの勝率を上回ることができません。オリックスの自力優勝の可能性が消えたため、ロッテにマジックが点灯しました。
優勝へのカウントダウンといえるマジックナンバー。マジックが点灯すると、大変盛り上がりますが、点灯したマジックが消滅することもあります。
マジックが消滅するのは、マジック点灯チーム以外のチームに自力優勝の可能性が復活した場合。
代表的な例として、マジック点灯チームが連敗し、他チームが連勝すると、他チームに自力優勝が復活する可能性があります。
また、マジック点灯とは、あくまで「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」であり、優勝の可能性がなくなった訳ではありません。
マジックナンバーの計算方法
マジックナンバー=(マジック対象チームの勝利数+残り試合数)-(マジック点灯チームの勝利数)+1
2023年8月26日、パ・リーグ1位のオリックスに、マジック24が点灯しました。
オリックス | 67勝40敗4分け(残り試合32)→マジック24が点灯 |
ロッテ | 56勝48敗5分け(残り試合34) |
マジック対象チーム(ロッテ)の勝利数 | 56 |
マジック対象チーム(ロッテ)の残り試合数 | 34 |
マジック点灯チーム(オリックス)の勝利数 | 67 |
上記のケースを、マジックナンバーの計算方法に当てはめると、
(56+34)-(67)+1=24
マジックは24です。
マジックナンバーの減り方
マジックナンバーの減り方は、一度に1か2減るのが基本です。
- マジック点灯チームが勝利→マジックが1減る
- マジック対象チームが敗北→マジックが1減る
- マジック点灯チームが引き分け→マジックが1減る場合と減らない場合がある
- マジック対象チームが引き分け→マジックが1減る場合と減らない場合がある
同じ日にマジック点灯チームが勝ち、対象チームが負けると、マジックは2減ります(1+1=2)。
引き分けは、マジックが減る場合と、減らない場合があり複雑です。まずは、上記のマジックの減り方を覚えていれば問題ありません。
マジックナンバーの特殊な減り方
ここからは、過去に起きたマジックナンバーの特殊な減り方をご紹介します。
- 直接対決で勝ったのに、マジックが1しか減らなかったケース
- マジックが一度に3減ったケース
直接対決で勝ったのに、マジックが1しか減らなかったケース
マジック対象チームとの直接対決で、マジック点灯チームが勝つと、マジックは2減ります。しかし、直接対決で勝ったにもかかわらず、マジックが1しか減らなかったケースがあります。
2003年7月23日、マジック39が点灯していた阪神が、マジック対象チームのヤクルトに勝利しました。
本来ならマジックが2減り、37となりますが、同じ日の横浜戦に勝利した中日がマジック対象チームに変わったため、マジックは1しか減らず、38となりました。
2003年7月23日終了時点(当時は140試合制) | |
阪神 | 62勝23敗1分け(残り試合54) |
ヤクルト | 44勝41敗(残り試合55) |
中日 | 44勝40敗(残り試合56) |
阪神が残り54試合で37勝した場合 | 99勝40敗1分け…勝率.712 |
ヤクルトが残り55試合に全勝した場合 | 99勝41敗…勝率.707 |
中日が残り56試合に全勝した場合 | 100勝40敗…勝率.714 阪神の勝率を上回る→マジック対象チームはヤクルトから中日へ ※マジック対象チーム…マジック点灯チーム以外で、残りの試合に全勝した場合、最も勝率が高くなるチーム |
阪神が残り54試合で38勝した場合 | 100勝39敗1分け…勝率.719 中日が残り56試合に全勝した場合の勝率(.714)を上回る→マジック38 |
3チームが関わっているケースで、マジック対象チームの変更を含めて、かなり複雑な内容です。
マジックが一度に3減ったケース
2013年9月11日、マジック18が点灯していた楽天が、マジック対象チームのロッテに勝利し、マジックが一度に3減りました。
- 楽天の勝利と、ロッテの敗北でマジックが2減る
- 楽天がロッテとの対戦成績を13勝8敗として、シーズンにおける直接対決の勝ち越しを決めたことで、マジックがさらに1減る
パ・リーグの順位の決め方は、勝率が並んだ場合、直接対決で勝ち越しているチームが上位となります。
楽天がロッテ戦の勝ち越しを決めたので、ロッテの勝率に並べば、ロッテより上位の順位になります。ロッテの勝率を上回る必要がなくなりました。
楽天がロッテより上位になるために、必要な勝利数が1減ったことで、マジックがさらに1減りました。
順位の決め方によって、マジックが3減った珍しいケースです。
マジックナンバーに関する記録
- 歴代最速のマジックナンバー点灯日
- パ・リーグ最速のマジックナンバー点灯日
- 優勝を逃したチームのマジックナンバー最速点灯日
- 自力優勝の最速消滅日
歴代最速のマジックナンバー点灯日
歴代最速のマジックナンバー点灯日は、2022年7月2日。東京ヤクルトスワローズがマジック53を点灯させました。
史上最年少の三冠王に輝いた村上宗隆選手を中心に、山田哲人選手や塩見泰隆選手、オスナ選手やサンタナ選手といった強力打撃陣。9月25日のDeNA戦で、丸山和郁選手がサヨナラヒットを放ち、見事優勝を決めました。
パ・リーグ最速のマジックナンバー点灯日
パ・リーグ最速のマジックナンバー点灯日は、1965年7月6日。南海ホークスがマジック62を点灯させました。
投手陣はスタンカ選手、林俊彦選手、皆川睦男選手、三浦清弘選手、新山彰忠選手の5投手が、2桁勝利をマーク。打者では、野村克也選手が三冠王を獲得し、打線を牽引しました。
優勝を逃したチームのマジックナンバー最速点灯日
2008年7月22日、阪神タイガースにマジック46が点灯しました。しかし、8月に北京オリンピックで、藤川球児選手、矢野輝弘選手、新井貴浩選手がチームから抜けると、投打ともに失速し、連敗を重ねます。
一方で、ライバルの巨人は、9月に入り、12連勝を記録するなど、驚異的な追い上げを見せます。10月10日、阪神が横浜に敗北、巨人がヤクルトに勝利した結果、巨人のリーグ優勝が決定しました。
自力優勝の最速消滅日
自力優勝の最速消滅日は、1955年4月28日。大映スターズの27試合目です。
最速で自力優勝は消滅しましたが、結果的にパ・リーグ8チーム中、6位でペナントレースを終えました。
マジックナンバーの語源はビンゴゲーム
マジックナンバーの語源は、ビンゴゲームと言われています。ビンゴゲームのリーチ状態で、ビンゴ完成に必要な番号の呼び名がマジックナンバー。
マジックナンバーの歴史は古く、野球では1947年には使われていたとされています。
まとめ
- プロ野球のマジックナンバーは「あと何勝すればリーグ優勝が決まるか」を表す数字
- マジックナンバーの点灯条件は「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなる」
- マジックナンバーの計算方法は、(マジック対象チームの勝利数+残り試合数)-(マジック点灯チームの勝利数)+1
- マジックナンバーは一度に1か2減るのが基本
- マジックナンバーの語源はビンゴゲーム
マジックナンバーは複雑な部分があり、難しいと感じるかもしれませんが「優勝へのカウントダウン」と思って、気楽に見ましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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