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- 人的補償のルールを知りたい方
- 過去の補償選手を知りたい方
プロ野球のオフシーズンは、選手の移籍が注目を集めます。人的補償も選手が移籍する制度ですが、細かい内容は分かりづらいですよね。
この記事では、プロ野球観戦歴20年以上の筆者が人的補償について解説します。また、過去の補償選手もご紹介します。
この記事を読めば、人的補償に詳しくなれますよ。
人的補償とは
人的補償とは「FA権を使って選手が移籍した際、前所属球団が移籍先球団から選手1人を指名、獲得できる補償制度」です。
- プロ野球におけるFAとは、選手が他球団と自由に交渉・契約できる状態
- FAとなる権利を「FA権」と呼びます
- FAは「国内FA」と「海外FA」に分かれています
→プロ野球のFA(フリーエージェント)とは?取得条件や補償を解説!
FAの補償は、人的補償以外にも金銭で支払う「金銭補償」があります。
どうして人的補償が必要なの?
人的補償が必要な理由は「一方的な戦力低下を防ぐため」です。
FA権を取得するには何年も1軍登録される必要があります。何年も1軍登録される=主力選手の可能性が高いですね。
もし主力選手がFAで抜けてしまうと、チームとして大きな痛手です。また、チーム同士の戦力差が広がりすぎるのは、プロ野球の興行的にもよくありません。
FAによる一方的な戦力低下を防ぐために、人的補償制度があります。ただし、FAの移籍で必ず人的補償が発生する訳ではありません。
人的補償の有無はFA選手の「旧年俸のランク」で決まります。
旧年俸のランク
FA選手は前所属球団での旧年俸順にランク付けされています。
ランク | 旧年俸 |
Aランク | 日本人選手の旧年俸1~3位 |
Bランク | 日本人選手の旧年俸4~10位 |
Cランク | 日本人選手の旧年俸11位以下 |
AランクとBランクでは人的補償が必要で、Cランクでは必要ありません(金銭補償も同様)。
ランクによる補償内容も見てみましょう。
※金銭補償は1回目と2回目以降のFAで金額が異なります。
1回目 | 人的補償あり | 人的補償なし |
Aランク | 選手1人+旧年俸の0.5倍の金銭 | 旧年俸の0.8倍の金銭 |
Bランク | 選手1人+旧年俸の0.4倍の金銭 | 旧年俸の0.6倍の金銭 |
Cランク | なし | なし |
2回目以降 | 人的補償あり | 人的補償なし |
Aランク | 選手1人+旧年俸の0.25倍の金銭 | 旧年俸の0.4倍の金銭 |
Bランク | 選手1人+旧年俸の0.2倍の金銭 | 旧年俸の0.3倍の金銭 |
Cランク | なし | なし |
人的補償のルール
ここからは人的補償に関するルールを解説します。
指名できる選手
人的補償はどの選手でも指名できる訳ではありません。以下の選手以外から指名する必要があります。
- 移籍先球団がプロテクト(保護)した28人の選手
- FA権取得により外国人枠の適用外になった選手を含む外国人選手
- 直近のドラフトで獲得した新人選手
- 育成契約選手
プロテクトについて
移籍先球団はプロテクトする選手28人を決定し、リストを作成します(プロテクトリスト作成後、前所属球団に提出)。
28人と聞くと多く感じますが、一軍登録人数が29人なのでそんなに余裕のある人数ではありません。
一軍クラスの選手に加え、期待の若手やチームに貢献してきたベテランも考えると、すぐに28人は埋まってしまいます。
特に若手とベテランどちらを重点的にプロテクトするかは、ファンの間でも意見が分かれる部分です。
2球団にプロテクトリストを提出するケース
同じ年に2球団からFA選手2人を獲得し、2球団にプロテクトリストを提出するケースがあります。
2球団にリストを提出するケースでは、リストごとにプロテクトする選手を変えられます。例を挙げて見てみましょう。
「投手がほしいA球団」と「内野手がほしいB球団」にプロテクトリストを作成
- A球団に対しては投手を中心にプロテクト
- B球団に対しては内野手を中心にプロテクト
※相手球団がほしいポジションに合わせて、プロテクトする選手を変えられます
人的補償に指名された選手が移籍を拒否したら?
万が一、人的補償に指名された選手が移籍を拒否すると「資格停止選手」となります。資格停止選手は処分が解除されるまで試合出場できません。
過去の人的補償一覧
ここからは過去の人的補償選手をご紹介します。
年 | 人的補償選手(前所属→移籍先) | FA移籍選手 |
1995年 | 川邉忠義(巨人→日本ハム) | 河野博文 |
2001年 | 平松一宏(巨人→中日) | 前田幸長 |
2001年 | ユウキ(近鉄→オリックス) | 加藤伸一 |
2005年 | 小田幸平(巨人→中日) | 野口茂樹 |
2005年 | 江藤智(巨人→西武) | 豊田清 |
2006年 | 吉武真太郎(ソフトバンク→巨人) | 小久保裕紀 |
2006年 | 工藤公康(巨人→横浜) | 門倉健 |
2007年 | 赤松真人(阪神→広島) | 新井貴浩 |
2007年 | 福地寿樹(西武→ヤクルト) | 石井一久 |
2007年 | 岡本真也(中日→西武) | 和田一浩 |
2010年 | 高濱卓也(阪神→ロッテ) | 小林宏之 |
2011年 | 藤井秀悟(巨人→DeNA) | 村田修一 |
2011年 | 高口隆行(ロッテ→巨人) | 大村三郎 |
2012年 | 高宮和也(オリックス→阪神) | 平野恵一 |
2012年 | 馬原孝浩(ソフトバンク→オリックス) | 寺原隼人 |
2013年 | 一岡竜司(巨人→広島) | 大竹寛 |
2013年 | 藤岡好明(ソフトバンク→日本ハム) | 鶴岡慎也 |
2013年 | 鶴岡一成(DeNA→阪神) | 久保康友 |
2013年 | 脇谷亮太(巨人→西武) | 片岡治大 |
2013年 | 中郷大樹(ロッテ→西武) | 涌井秀章 |
2014年 | 奥村展征(巨人→ヤクルト) | 相川亮二 |
2016年 | 金田和之(阪神→オリックス) | 糸井嘉男 |
2016年 | 平良拳太郎(巨人→DeNA) | 山口俊 |
2017年 | 尾仲祐哉(DeNA→阪神) | 前田大和 |
2017年 | 高木勇人(巨人→西武) | 野上亮磨 |
2018年 | 内海哲也(巨人→西武) | 炭谷銀仁朗 |
2018年 | 竹安大知(阪神→オリックス) | 西勇輝 |
2018年 | 長野久義(巨人→広島) | 丸佳浩 |
2019年 | 小野郁(楽天→ロッテ) | 鈴木大地 |
2019年 | 酒居知史(ロッテ→楽天) | 美馬学 |
2020年 | 田中俊太(巨人→DeNA) | 梶谷隆幸 |
2021年 | 岩嵜翔(ソフトバンク→中日) | 又吉克樹 |
過去の人的補償で活躍した選手として、2007年西武からヤクルトに移籍した福地選手が挙げられます。
俊足が武器の福地選手は、移籍初年度(2008年)からレギュラーに定着し、2008・2009年と2年連続の盗塁王に輝きました。
投手では2013年巨人から広島に移籍した一岡選手が挙げられます。
一岡選手は巨人での実績がほとんどありませんでした。しかし、広島に移籍すると中継ぎとしてチームを支え、3年連続のリーグ優勝に大きく貢献しました。
最近の人的補償では、2019年ロッテから楽天に移籍した酒居選手も、中継ぎとして欠かせない戦力になっています。
まとめ
人的補償やプロテクトは、プロ野球ファンの中で特に盛り上がる話題です。
シーズン中は移籍先での活躍、前所属球団との対戦が大きな見どころです。人的補償に注目して、さらにプロ野球を楽しみましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。