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この記事は「プロ野球のFAについて詳しく知りたいな」と思われている方に向けた内容になっています。
FAという言葉を聞いたことはあっても、細かいルールや条件は分かりづらいですよね。
この記事ではプロ野球観戦歴20年以上の筆者がFAについて詳しくお伝えしていきます。
この記事を読めばあなたもFAに詳しくなれますよ。
FA(フリーエージェント)とは
プロ野球におけるFA(フリーエージェント)とは、選手が他球団と自由に交渉・契約できる状態を指します。
FAは「国内FA」と「海外FA」に分かれており、FAとなる権利を「FA権」と呼びます。
国内FA権と海外FA権
国内FA権とは「日本プロ野球の全球団と交渉・契約できる権利」
海外FA権とは「日本プロ野球の全球団+海外の球団と交渉・契約できる権利」
それでは国内FA権・海外FA権を取得する為の条件を見ていきましょう。
- 1シーズンの1軍登録145日を1年としてカウント
- 規定の年数経過でFA権を取得
- 1シーズン145日を超えて1軍登録されても145日までしかカウントされない
- 1軍登録日数が145日に満たないシーズンが複数ある場合は、合算して満145日ごとに1年として計算される
- シーズン途中で所属球団が変わっても引き継いで計算される
国内FA権を取得するのに必要な年数
- 2006年までのドラフトで入団した全選手…8年(合計1160日)
- 2007年以降のドラフトで入団した高校生選手…8年
- 2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人選手…7年(合計1015日)
海外FA権を取得するのに必要な年数
- 全選手…9年
1軍登録日数に関しては特例措置があります。
- 故障者特例措置
- 投手の登録日数加算に関する特例措置
- クライマックスシリーズ特例措置
- 新型コロナウイルス特例措置
それぞれの内容を見ていきましょう。
故障者特例措置
「故障者特例措置」とは、グラウンド上で発生した故障が原因で1軍登録日数が145日に満たない場合の特例措置です。
登録抹消日から2軍公式戦に出場するまでの日数のうち、最大60日が加算されます。
シーズン中に複数回の登録抹消が起こった場合も計算し最大60日まで加算されます。
条件としては前年の1軍登録日数が145日以上必要です。
また故障者特例措置が適用されると、翌年は特例措置の対象外となります。
投手の登録日数加算に関する特例措置
先発ローテーションと球団が判断した投手に対する特例措置です。
- 開幕日から7日以内に1軍登録された場合、開幕日からの日数を加算
- オールスターゲーム第1戦予定日の7日前以降に登録抹消され、かつオールスターゲーム最終戦後7日以内に再登録された場合、抹消された日から再登録前日までの日数を加算
クライマックスシリーズ特例措置
レギュラーシーズン終了からクライマックスシリーズのチーム初戦まで10日以上ある場合は自動的に登録抹消となり、クライマックスシリーズで再登録されると抹消されていた期間の日数も加算されます。
またクライマックスシリーズでの登録日数もカウントされます。
新型コロナウイルス特例措置
2020年シーズンは試合数が120試合と例年に比べて少なくなった為「実際の1軍登録日数×1.3倍」として計算します。
ちなみに必要な日数としては
「145÷1.3=111.5」
112日となります。
FA権取得後の選択肢
実際にFA権を取得した選手にはどのような選択肢があるのでしょうか。
FA権を行使(FA宣言)
FA権取得後の選択肢として「FA権を行使(FA宣言)」があります。
FA権を行使することで、所属球団以外とも交渉・契約できるようになります。
一連の流れを見ていきましょう。
- 両リーグの公式戦終了日2日後に、その年にFA権を取得した選手、およびFA権を持続している選手がコミッショナーより公示される(コミッショナーとは日本野球機構における最高責任者)
- 日本シリーズ終了翌日から、土・日・祝日を除く7日以内にコミッショナー宛に文書で申請(FA権を行使)
- 8日目の午後3時にコミッショナーより「FA宣言選手」として公示される
- 「FA宣言選手」として公示された翌日より所属球団以外とも交渉を行うことが可能となる
FA権を行使した後、所属球団や獲得を希望する球団と交渉し、移籍か残留を決定します。
交渉期限は設けられていませんが、年内に決まることが多いです。
FA権を行使しない
「FA権を行使しない」のも選択肢のひとつです。
FA権を行使しない場合は翌年も所属球団でプレーすることになります。
行使しなかったFA権は翌年以降に持ち越されます。
FA権を行使しない理由としては
- 所属球団でプレーを続けたい
- 思ったような成績が残せなかった為、翌年にしっかりした成績を残した上でFA権について考えたい
- 翌年以降に取得する海外FA権を行使してのメジャー挑戦を考えている
上記のような理由が挙げられます。
所属球団から見ると、選手が残留するので戦力ダウンを免れる結果となります。
FA移籍に伴う補償
FA権を行使し他球団への移籍が決定すると、移籍先の球団から前球団への補償が発生します。
補償には「金銭補償」と「人的補償」があり、補償の有無や内容はFA選手の旧年俸によって決まります。
旧年俸のランク
選手は前球団での旧年俸順にランク付けされています。
- Aランク…日本人選手の旧年棒1~3位
- Bランク…日本人選手の旧年棒4~10位
- Cランク…日本人選手の旧年俸11位以下
金銭補償
金銭による補償です。
FA選手の旧年俸とランクで支払われる金額は変わってきます。
人的補償
前球団が移籍先球団の選手1人を指名し、指名された選手を前球団に与える補償です。
どの選手でも指名できる訳ではなく、以下の選手以外を指名する必要があります。
- 移籍先球団がプロテクトした28人の選手
- FA権取得により外国人枠の適用外になった選手を含む外国人選手
- 直近のドラフトで獲得した新人選手
- 育成契約選手
プロテクトの選手リストはファンに公開されませんが、驚くような選手がプロテクトから外れているケースがあります。
広島東洋カープの丸佳浩選手がFA権を行使し読売ジャイアンツに移籍した際、人的補償で長野久義選手が広島に移籍しました。
また埼玉西武ライオンズの炭谷銀仁朗選手がFA権を行使し読売ジャイアンツに移籍した際、内海哲也選手が埼玉西武に移籍したケースもあります。
もし人的補償に指名された選手が移籍を拒否した場合、その選手は資格停止選手となります。
→人的補償とは?ルールを解説|過去の補償選手一覧も紹介【プロ野球】
以下に補償内容をまとめました。
金銭補償は1回目と2回目以降のFAで金額が異なります。
1回目 | Aランク | Bランク | Cランク |
人的補償なし | 旧年俸の0.8倍の金銭 | 旧年俸の0.6倍の金銭 | なし |
人的補償あり | 選手1人+旧年俸の0.5倍の金銭 | 選手1人+旧年俸の0.4倍の金銭 | なし |
2回目以降 | Aランク | Bランク | Cランク |
人的補償なし | 旧年俸の0.4倍の金銭 | 旧年俸の0.3倍の金銭 | なし |
人的補償あり | 選手1人+旧年俸の0.25倍の金銭 | 選手1人+旧年俸の0.2倍の金銭 | なし |
海外FAでの補償はどうなる?
海外FAで日本プロ野球以外の海外球団に移籍する場合は、基本的に補償は発生しません。
海外球団への移籍に対する補償は未整備の状態です。
その他のFAに関するルール
FA権の再取得
FA権の再取得は、FA権を行使しての残留・移籍を問わず4年後です。
再取得したFA権は全て海外移籍が可能なFA権となります。
FAで移籍する選手に支払われる年俸
FAで移籍する選手は複数年契約を結ぶことが多いです。
移籍1年目に支払われる年俸は原則として旧年俸(現状維持)が上限となり、理由は複数球団による過度な獲得競争を防ぐ為です。
契約年数や出来高・2年目以降の年俸の上昇に制約はありません。
獲得人数
1球団がFAで獲得できる人数はランクA・Bの選手は2人までです。
FA権を行使し残留する選手・ランクCの選手は人数に含まれません。
例えばランクAの選手2人とランクCの選手1人なら3人同時に獲得できます。
ただしFA権を行使した選手が多い時は以下のように変わります。
- 21人以上30人以下…3人まで
- 31人以上40人以下…4人まで
- 41人以上…5人まで
2021年にFA権を取得する可能性のある主な選手
- 小林誠司(読売ジャイアンツ)
- 陽岱鋼(読売ジャイアンツ)
- 梅野隆太郎(阪神タイガース)
- 田島慎二(中日ドラゴンズ)
- 又吉克樹(中日ドラゴンズ)
- 岡田俊哉(中日ドラゴンズ)
- 祖父江大輔(中日ドラゴンズ)
- 松葉貴大(中日ドラゴンズ)
- 福田永将(中日ドラゴンズ)
- 山﨑康晃(横浜DeNAベイスターズ)
- 髙城俊人(横浜DeNAベイスターズ)
- 中井大介(横浜DeNAベイスターズ)
- 大和(横浜DeNAベイスターズ)
- 宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ)
- 九里亜蓮(広島東洋カープ)
- 大瀬良大地(広島東洋カープ)
- 今村猛(広島東洋カープ)
- 堂林翔太(広島東洋カープ)
- 嘉弥真新也(福岡ソフトバンクホークス)
- 石川歩(千葉ロッテマリーンズ)
- 岡田雅利(埼玉西武ライオンズ)
- 木村文紀(埼玉西武ライオンズ)
- 岸孝之(東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 辛島航(東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 福山博之(東北楽天ゴールデンイーグルス)
- 秋吉亮(北海道日本ハムファイターズ)
- 大田泰示(北海道日本ハムファイターズ)
- 近藤健介(北海道日本ハムファイターズ)
- ディクソン(オリックスバファローズ)
- 比嘉幹貴(オリックスバファローズ)
- 海田智行(オリックスバファローズ)
- 後藤駿太(オリックスバファローズ)
まとめ
FA権は選手が長年頑張ってきた証であり、権利の行使は選手にとって大きな決断となります。
選手には後悔のない選択をしてほしいですね。
FAの話題はシーズンオフの中心になることが多く、ファンの注目度も高いです。
FAのシステムや一連の流れを覚えてシーズンオフをより楽しみましょう。
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