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プロ野球のポスティングシステムとFAの違いを知りたい方
プロ野球のシーズンオフによく聞くポスティングシステムとFAですが、どのような違いがあるのか分かりづらいですよね。
この記事では、野球観戦歴30年以上の筆者が、ポスティングシステムとFAの違いをお伝えします。
この記事を読めば、ポスティングシステムとFAの違いが分かるようになりますよ。
ポスティングシステムとFAの違い
結論からお伝えすると、ポスティングシステムとFAの最大の違いは
ポスティングシステムは「球団の権利」、FAは「選手の権利」という点です。
ポスティングシステムとFAについてもう少し詳しく見てみましょう。
ポスティングシステム
ポスティングシステムは「入札制度」とも呼ばれている移籍システムです。
海外FA権を持たない選手が、海外リーグへの移籍を希望した際、球団が認めれば海外FA権取得前に移籍が可能となります。
選手の移籍交渉が成立すると、移籍先球団から所属球団へ「譲渡金」と呼ばれる金銭が支払われます。
ポスティングシステム導入の経緯は、1995年に近鉄バファローズ・野茂英雄選手が任意引退によってMLB(大リーグ)のロサンゼルス・ドジャースと契約を結んだことがきっかけです。
1998年に「日米間選手契約に関する協定」が調印され、ポスティングシステムが成立しました。
過去のポスティングシステムでは「封印入札方式(システム成立当初~2012年)」「譲渡金を所属球団が設定する方式(2014~2017年)」で行われていましたが、現在は「譲渡金変動制」となっています。
譲渡金変動制
- 契約金・年俸・契約解除料の「総額」に応じて譲渡金が変動するシステム
- 譲渡金を支払う意思がある全ての球団と交渉が可能
ポスティングシステムについてさらに詳しく知りたい方は、プロ野球のポスティングシステムとは?ルールや譲渡金を解説!もご覧ください。
FA
プロ野球におけるFA(フリーエージェント)とは、選手が他球団と自由に交渉・契約できる状態を指します。
FAは「国内FA」と「海外FA」に分かれており、海外リーグへ移籍するには「海外FA権」を取得する必要があります。
海外FA権の取得条件は以下です。
- 1シーズンの1軍登録145日を1年としてカウントし、累計で9年経過する
FAについてさらに詳しく知りたい方は、プロ野球のFA(フリーエージェント)とは?取得条件や補償を解説!もご覧ください。
ポスティングシステムと海外FAのメリット・デメリット
ポスティングシステムと海外FA、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
ポスティングシステムのメリット
選手
- 海外FA権取得前の年齢が若い時期に海外へ移籍できる
- 現在のシステムは複数の球団と交渉が可能である
所属球団
- 選手の交渉が成立すると譲渡金を獲得できる
移籍先球団
- 海外FA権取得前に有力選手を獲得できる
- 過去のシステムでは所属球団に支払う金銭が高騰するケースがあったが、現在は過去に比べて譲渡金が抑えられている
ポスティングシステムのデメリット
所属球団
- 有力選手が抜けるため、戦力ダウンする
海外FAのメリット
選手
- 球団の許可は関係なく、自分の意思で海外移籍を目指せる
移籍先球団
- ポスティングとは異なり交渉成立時に譲渡金は発生しない
海外FAのデメリット
所属球団
- 有力選手が抜けるため、戦力ダウンする
- 国内FAでは移籍先球団からの補償を得られるが、海外FAでは譲渡金や補償を得られない
ポスティングシステムを利用し移籍した選手
ポスティングシステムを利用し移籍した選手は以下の22名です。
年度 | 選手 | 所属球団 | 移籍先球団 |
1998年 | アレファンドロ・ケサダ | 広島東洋カープ | シンシナティ・レッズ |
2000年 | イチロー | オリックス・ブルーウェーブ | シアトル・マリナーズ |
2001年 | 石井一久 | ヤクルトスワローズ | ロサンゼルス・ドジャース |
2002年 | ラモン・ラミーレス | 広島東洋カープ | ニューヨーク・ヤンキース |
2003年 | 大塚晶文 | 中日ドラゴンズ | サンディエゴ・パドレス |
2004年 | 中村紀洋 | 大阪近鉄バファローズ | ロサンゼルス・ドジャース |
2005年 | 森慎二 | 西武ライオンズ | タンパベイ・デビルレイズ |
2006年 | 松坂大輔 | 西武ライオンズ | ボストン・レッドソックス |
2006年 | 岩村明憲 | 東京ヤクルトスワローズ | タンパベイ・デビルレイズ |
2006年 | 井川慶 | 阪神タイガース | ニューヨーク・ヤンキース |
2010年 | 西岡剛 | 千葉ロッテマリーンズ | ミネソタ・ツインズ |
2011年 | 青木宣親 | 東京ヤクルトスワローズ | ミルウォーキー・ブルワーズ |
2011年 | ダルビッシュ有 | 北海道日本ハムファイターズ | テキサス・レンジャーズ |
2013年 | 田中将大 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | ニューヨーク・ヤンキース |
2015年 | 前田健太 | 広島東洋カープ | ロサンゼルス・ドジャース |
2017年 | 大谷翔平 | 北海道日本ハムファイターズ | ロサンゼルス・エンゼルス |
2017年 | 牧田和久 | 埼玉西武ライオンズ | サンディエゴ・パドレス |
2018年 | 菊池雄星 | 埼玉西武ライオンズ | シアトル・マリナーズ |
2019年 | 筒香嘉智 | 横浜DeNAベイスターズ | タンパベイ・レイズ |
2019年 | 山口俊 | 読売ジャイアンツ | トロント・ブルージェイズ |
2020年 | 有原航平 | 北海道日本ハムファイターズ | テキサス・レンジャーズ |
2021年 | 鈴木誠也 | 広島東洋カープ | シカゴ・カブス |
海外FA権を行使し移籍した選手
海外FA権を行使し移籍した選手は以下の33名です。
年度 | 選手 | 所属球団 | 移籍先球団 |
1997年 | 吉井理人 | ヤクルトスワローズ | ニューヨーク・メッツ |
1998年 | 木田優夫 | オリックス・ブルーウェーブ | デトロイト・タイガース |
1999年 | 佐々木主浩 | 横浜ベイスターズ | シアトル・マリナーズ |
2000年 | 新庄剛志 | 阪神タイガース | ニューヨーク・メッツ |
2001年 | 小宮山悟 | 横浜ベイスターズ | ニューヨーク・メッツ |
2001年 | 田口壮 | オリックス・ブルーウェーブ | セントルイス・カージナルス |
2002年 | 松井秀喜 | 読売ジャイアンツ | ニューヨーク・ヤンキース |
2003年 | 高津臣吾 | ヤクルトスワローズ | シカゴ・ホワイトソックス |
2003年 | 松井稼頭央 | 西武ライオンズ | ニューヨーク・メッツ |
2004年 | 藪恵壹 | 阪神タイガース | オークランド・アスレチックス |
2005年 | 城島健司 | 福岡ソフトバンクホークス | シアトル・マリナーズ |
2006年 | 岡島秀樹 | 北海道日本ハムファイターズ | ボストン・レッドソックス |
2007年 | 黒田博樹 | 広島東洋カープ | ロサンゼルス・ドジャース |
2007年 | 小林雅英 | 千葉ロッテマリーンズ | クリーブランド・インディアンス |
2007年 | 薮田安彦 | 千葉ロッテマリーンズ | カンザスシティ・ロイヤルズ |
2007年 | 福盛和男 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | テキサス・レンジャーズ |
2007年 | 福留孝介 | 中日ドラゴンズ | シカゴ・カブス |
2008年 | 川上憲伸 | 中日ドラゴンズ | アトランタ・ブレーブス |
2008年 | 上原浩治 | 読売ジャイアンツ | ボルチモア・オリオールズ |
2008年 | 高橋建 | 広島東洋カープ | トロント・ブルージェイズ(マイナー) |
2009年 | 五十嵐亮太 | 東京ヤクルトスワローズ | ニューヨーク・メッツ |
2009年 | 高橋尚成 | 読売ジャイアンツ | ニューヨーク・メッツ(マイナー) |
2010年 | 建山義紀 | 北海道日本ハムファイターズ | テキサス・レンジャーズ |
2010年 | 土肥義弘 | 埼玉西武ライオンズ | ランカスター・バーンストーマーズ(米独立リーグ) |
2011年 | 和田毅 | 福岡ソフトバンクホークス | ボルチモア・オリオールズ |
2011年 | 岩隈久志 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | シアトル・マリナーズ |
2011年 | 川﨑宗則 | 福岡ソフトバンクホークス | シアトル・マリナーズ(マイナー) |
2012年 | 藤川球児 | 阪神タイガース | シカゴ・カブス |
2012年 | 中島裕之 | 埼玉西武ライオンズ | オークランド・アスレチックス |
2012年 | 田中賢介 | 北海道日本ハムファイターズ | サンフランシスコ・ジャイアンツ(マイナー) |
2017年 | 平野佳寿 | オリックス・バファローズ | アリゾナ・ダイヤモンドバックス |
2019年 | 秋山翔吾 | 埼玉西武ライオンズ | シンシナティ・レッズ |
2020年 | 澤村拓一 | 千葉ロッテマリーンズ | ボストン・レッドソックス |
海外への移籍といえばポスティングシステムのイメージが強いですが、移籍人数は海外FAが多いです。
まとめ
ポスティングシステムとFAの最大の違いは、ポスティングシステム=「球団の権利」、FA=「選手の権利」という点です。
ポスティングシステムとFAそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらの制度を利用するかは、球団の方針やチーム状況・移籍のタイミングなどが関わってきます。
ポスティングシステムとFAの違いを覚えて、プロ野球のシーズンオフをより楽しみましょう。
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