- ドラフト会議の流れやルールがわかりづらい
- ドラフト会議について詳しく知りたい
- ドラフト会議の目的は?
プロ野球のドラフト会議。12球団がどの選手を指名するのか、毎年注目の一大イベントです。しかし、ドラフト会議のルールは細かく、流れを把握していないと十分に楽しめません。
筆者はプロ野球を30年以上観てきました。ドラフト会議も毎年楽しんでいます。
そこでこの記事では、ドラフト会議の目的やルール、流れまでまとめて解説します。
この記事を読めば、ドラフト会議に詳しくなり、今以上にドラフト会議を楽しめます。
ドラフト会議は「新人選手を獲得するための会議」
プロ野球のドラフト会議は、日本野球機構(NPB)が主催する、新人選手獲得のための会議。毎年10月に行われており、正式名称は「新人選手選択会議」といいます。
プロ野球12球団が有望な新人選手を指名し、戦力強化を図ります。
注意したいのが、ドラフト会議で各球団が得るのは「契約交渉権」という点。「指名=入団」ではなく、指名された選手は、入団を拒否することもできます。
ドラフト会議はいつから始まった?
ドラフト会議の歴史は長く、1965年に第1回ドラフト会議が開催されました。
これまでに50回以上も開催されており、様々なドラマが生まれています。
ドラフト会議の目的は「12球団の戦力均衡化」
ドラフト会議の目的は、12球団の戦力の均衡化(きんこうか)。
ドラフト会議が行われず、球団と選手が自由に交渉できる環境では、資金力や人気の高い球団に有力選手が集中しやすいです。
特定球団に有力選手が集中すると、球団間に戦力格差が生まれます。結果的に、戦力のある上位球団と、戦力不足の下位球団が分かれることに。
上位球団と下位球団がはっきりした状況では、順位争いが面白くありません。ペナントレースの緊迫感やドラマが失われます。さらに、ファンは球場へ通わなくなり、球団収入が減少します。
特定球団に有力選手が集中せず、12球団の戦力均衡化を目的として、ドラフト会議は行われています。
ドラフト会議で指名できる選手
- 過去に日本プロ野球の球団に入団したことがない選手
- 上記のうち日本国籍を持っている、もしくは日本の中学校・高校とこれに準ずる学校、大学とこれに準ずる団体のいずれかに在学した経験を持つ選手
- 日本の学校に在学中の場合には、ドラフト会議の翌年3月卒業見込み、大学の場合は4年間在学している選手であること
ドラフト会議で指名できるのは、上記の選手です。
また、高校生と大学生でプロ入りを希望する選手は、所属する連盟への「プロ志望届」の提出が義務付けられています。
高校や大学・社会人と、日本でプレーしている選手が指名される印象が強いドラフト会議。
しかし、指名されるのは日本でプレーしている選手だけではありません。海外でプレーする選手が、ドラフト会議で指名されるケースがあります。
近年では、メッツ傘下3Aシラキュースに所属していた加藤豪将選手が、2022年10月20日に行われたドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから3位指名を受けました。
指名できる選手がいる一方で、指名できない選手も存在します。
- ドラフト開催年度の4月1日以降に退学した選手
- 所属する連盟にプロ志望届を提出していない学生・生徒
- 社会人野球のチームに入部した選手で中卒や高卒での入部の場合は入部後3年、それ以外の場合は2年を経過していない選手(所属チームが廃部または休部した場合は除く)
- 前年のドラフト会議で指名し、その後入団に至らなかった選手(当該球団のみ)、いくつかの例外あり
ドラフト会議の流れ
ドラフト会議は以下の流れで行われます。
- ドラフト1巡目→入札抽選制
- ドラフト2巡目以降→ウェーバー方式と逆ウェーバー方式
- 育成ドラフト
ドラフト1巡目は「入札抽選制」
最初は1巡目の指名です。ドラフト会議の1巡目は「入札抽選制」で行われます。
入札抽選制
- 12球団が一斉に選手を指名
- 指名選手が他球団と重複しなかった場合は、指名選手との契約交渉権を獲得(単独指名や一本釣りと呼ぶ)
- 指名選手が他球団と重複した場合は、くじ引きによる抽選を行う
- 抽選に外れた球団は再度選手を指名
- 指名選手が再度重複した場合も抽選を行い、12球団の1位指名選手が決まるまで入札抽選を繰り返す(2回目以降に1位指名された選手を、外れ1位と呼ぶ)
入札抽選制の見どころは、何と言ってもくじ引きによる抽選。
各球団の代表者が、順番に抽選箱から封筒を取り出します。司会の合図で一斉に封筒を開ける瞬間は、大変緊張します。
「ドラフト会議=くじ引き」のイメージを持っている方も多いでしょう。
→ドラフト会議くじ運ランキング!過去のくじ引き抽選結果も紹介
近年は、ドラフト会議前に指名選手を公表する球団も多いです。
指名選手を事前公表することで、他球団を牽制し、競合数を減らすメリットがあります。
ドラフト2巡目以降は「ウェーバー方式」と「逆ウェーバー方式」
- ウェーバー方式
- シーズン順位が最下位の球団から、優先的に選手を指名できる方式。1球団ずつ順番に指名するため、抽選はない。指名した時点で契約交渉権を獲得できる。
- 逆ウェーバー方式
- シーズン順位が1位の球団から指名していく方式。ウェーバー方式と同様、指名した時点で契約交渉権を獲得できる。
※偶数巡目の指名はウェーバー方式、奇数巡目の指名は逆ウェーバー方式
ドラフト2巡目は、ウェーバー方式で行い、最下位球団から指名します。最下位球団から、5位球団→4位球団→3位球団→2位球団→1位球団と順番に指名し、3巡目は逆ウェーバー方式で、1位球団からの指名となります。
最下位の球団から指名するウェーバー方式。ただ、プロ野球にはセ・リーグとパ・リーグ、2つのリーグがあります。ウェーバー方式では、先に指名するリーグを決めなくてはいけません。
現在のドラフト会議では、ウェーバー方式で先に指名するリーグは、1年ごとに交互に変わっています(2018年までは、交流戦で勝ち越したリーグが先に指名していました)。
ウェーバー方式で先に指名する権利を「優先権」と呼びます。
例として、2023年ドラフト会議の指名順をご紹介します。まずは、2023年の両リーグの順位を見てみましょう。
順位 | セ・リーグ | パ・リーグ |
1位 | 阪神 | オリックス |
2位 | 広島 | ロッテ |
3位 | DeNA | ソフトバンク |
4位 | 巨人 | 楽天 |
5位 | ヤクルト | 西武 |
6位 | 中日 | 日本ハム |
2023年ドラフト会議のウェーバー方式の優先権は、セ・リーグでした。2巡目の最初に指名するのは、セ・リーグ最下位の中日です。3巡目は逆ウェーバー方式で、パ・リーグ1位のオリックスから指名します。
指名順 | ウェーバー方式(偶数巡目) | 逆ウェーバー方式(奇数巡目) |
1番目 | 中日 | オリックス |
2番目 | 日本ハム | 阪神 |
3番目 | ヤクルト | ロッテ |
4番目 | 西武 | 広島 |
5番目 | 巨人 | ソフトバンク |
6番目 | 楽天 | DeNA |
7番目 | DeNA | 楽天 |
8番目 | ソフトバンク | 巨人 |
9番目 | 広島 | 西武 |
10番目 | ロッテ | ヤクルト |
11番目 | 阪神 | 日本ハム |
12番目 | オリックス | 中日 |
ウェーバー方式・逆ウェーバー方式を採用することで、ドラフト会議の目的である戦力均衡化につながります。
指名人数のルール
ドラフト会議で指名できるのは、基本的に各球団10名まで。また、全12球団の指名人数の合計は120名までと、上限が決まっています(12球団×10名=120名)。
全球団が「選択終了」するか、全球団での指名人数が120名を超えた時点で、ドラフト会議は終了となります。
基本は各球団10名までの指名。
しかし、他球団が10名を指名する前に選択終了していれば、全球団の合計が120名になるまで、11名以上の指名が可能です。
育成ドラフト
ドラフト会議終了時点で、指名選手が120名未満の場合「育成ドラフト」が行われます。育成ドラフトの正式名称は「育成選手選択会議」。
育成ドラフトに抽選はありません。育成ドラフトでは、奇数巡目の指名はウェーバー方式、偶数巡目の指名は逆ウェーバー方式となります。
→【支配下選手登録・育成選手とは】プロ野球1チームの選手人数は?
2024年ドラフト会議の日程は10月24日(木)
2024年のドラフト会議の日程は、10月24日(木)です。
大正製薬株式会社の特別協賛の下で行われ、公式タイトルは「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。大正製薬株式会社の特別協賛は、2013年から12年連続となります。
2024年ドラフト会議の会場は「グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール」
2024年ドラフト会議の会場は「グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール」です。
会場 | グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール |
住所 | 〒108-8612 東京都港区高輪3丁目13-1 |
ドラフト会議の司会は関野浩之アナウンサー
現在、ドラフト会議の司会は、関野浩之アナウンサー。2009年から司会を務めています。
関野アナウンサーは、ドラフト会議の司会に加え、フジテレビONEのプロ野球ニュースでナレーションも担当されています。落ち着いた声は大変聞き取りやすく、プロ野球ファンにとって、おなじみの存在といえるでしょう。
ドラフト会議の準備が整いました。
これで大丈夫だと思う気持ちと同じくらい、まだ足りないのではと不安になる気持ちが共存しています。
毎年毎年ドラフト会議前日はどうにも落ち着きません。
今年も精一杯司会を務めます、皆様どうぞ宜しくお願い致します。
ひとりでも多くの夢が叶いますように。 pic.twitter.com/oTtcs7nTKF— 関野浩之 (@sekinohiroyuki) October 25, 2023
ドラフト会議後に「プロ野球ニュース」に移動。ドラフト会議SPに出演し長い一日を終えました。
野村弘樹さん 真中満さん 里崎智也さん 袴田彩会さん、いつもご一緒している皆さんに迎えて頂き疲れも吹き飛びました!!
今年も無事に大任を果たす事が出来ました、皆様ありがとうございました。 pic.twitter.com/lGiuvXHF32— 関野浩之 (@sekinohiroyuki) October 26, 2023
歴代のドラフト会議の司会者は?
現在、関野浩之アナウンサーが司会を務めているドラフト会議。これまでのドラフト会議の司会者を見てみましょう。
司会 | 担当した年 |
伊東一雄(愛称・パンチョ伊東) | 1965~1991年 |
渡辺謙太郎 | 1993年 |
関野浩之 | 2009年~ |
1992年、1994~2008年は、NPB(日本野球機構)の職員が司会を行っていました。
2024年ドラフト会議の中継は?
2024年ドラフト会議は、テレビ・ラジオ・動画配信サービスで中継されます。
テレビ | TBS系列全国ネット放送 | スカイA |
ラジオ | ニッポン放送 | |
動画配信サービス | U-NEXT | SPORTS BULL(スポーツブル) |
スカイAは単体で加入するより、スカパー!プロ野球セットに加入して見るほうがお得です。
\加入月は無料!/
→【利用体験談あり】スカパー!プロ野球セットの料金は高い?評判や契約手順・支払い方法まで徹底解説
動画配信サービスのU-NEXTでは、ドラフト会議だけでなく、様々なコンテンツを楽しめます。
\映画やドラマ、アニメも楽しめる/
※本ページの情報は2024年9月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにて
ご確認ください。
ドラフト会議の最多指名、競合数は8球団
ドラフト会議の1巡目指名は入札抽選制。実力があり、人気の高い注目選手は、多くの球団から指名を受けます。
これまでのドラフト会議で、最も多くの球団から1位指名を受けたのは、1989年の野茂英雄氏(新日鉄堺)と、1990年の小池秀郎氏(亜細亜大学)の8球団です。
指名数 | 指名球団 ※赤字が契約交渉権を獲得 | 年度 | 選手名 | ポジション | 所属 | 結果 |
8球団 | ロッテ 大洋 日本ハム 阪神 ダイエー ヤクルト オリックス 近鉄 | 1989年 | 野茂英雄 | 投手 | 新日鉄堺 | 入団 |
8球団 | 阪神 ヤクルト ロッテ 中日 日本ハム 近鉄 広島 西武 | 1990年 | 小池秀郎 | 投手 | 亜細亜大学 | 拒否 |
→【プロ野球ドラフト会議】歴代の指名競合数ランキング一覧【1位指名の最多重複数は?】
ドラフト会議のおすすめ雑誌は「野球太郎ドラフト直前大特集号」
「ドラフトの注目選手を知りたい」「ドラフトの情報を集めたい」そんな方は「野球太郎ドラフト直前大特集号」で情報収集しましょう。
出版社 | 竹書房 |
価格 | 2,490円(税込) |
発売日 | 2024年9月28日 |
100名以上の指名候補選手の紹介や12球団のチーム編成分析、さらには指名候補選手のインタビューと充実の内容。価格が少々割高に感じるかもしれませんが、ボリュームを考えると価格分の価値は十分あります。
筆者も毎年購入して、ドラフト会議の予習をしています。
→ドラフト会議のおすすめ本は野球太郎ドラフト直前大特集号!【プロ野球雑誌】
まとめ
- ドラフト会議は、新人選手を獲得するための会議
- ドラフト会議の目的は、12球団の戦力均衡化
- ドラフト1巡目は、入札抽選制で行う
- 2巡目以降は、ウェーバー方式と逆ウェーバー方式で行う
- ドラフト会議終了時点で、指名選手が120名未満の場合、育成ドラフトを行う
- ドラフト会議の最多指名は8球団
- ドラフト会議のおすすめ雑誌は、野球太郎ドラフト直前大特集号
これまで多くのドラマを生んできたドラフト会議。夢を叶えた選手たちを見ていると、胸が熱くなります。
今後、どのようなドラマが生まれるのか、楽しみで仕方ありません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
以下の表では、球団や年代ごとにドラフト指名選手をまとめています(ブログ内の別記事にジャンプします)。