ドラフト

プロ野球のドラフト会議とは?仕組みやルール・2024年の日程や会場をわかりやすく解説

ドラフト会議のくじ引き
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  • ドラフト会議の流れやルールがわかりづらい
  • ドラフト会議について詳しく知りたい
  • ドラフト会議の目的は?

プロ野球のドラフト会議。12球団がどの選手を指名するのか、毎年注目の一大イベントです。しかし、ドラフト会議のルールは細かく、流れを把握していないと十分に楽しめません。

筆者はプロ野球を30年以上観てきました。ドラフト会議も毎年楽しんでいます。

そこでこの記事では、ドラフト会議の目的やルール、流れまでまとめて解説します

この記事を読めば、ドラフト会議に詳しくなり、今以上にドラフト会議を楽しめます。

ドラフト会議は「新人選手を獲得するための会議」

ドラフト会議

プロ野球のドラフト会議は、日本野球機構(NPB)が主催する、新人選手獲得のための会議。毎年10月に行われており、正式名称は「新人選手選択会議」といいます。

プロ野球12球団が有望な新人選手を指名し、戦力強化を図ります。

注意したいのが、ドラフト会議で各球団が得るのは「契約交渉権」という点。「指名=入団」ではなく、指名された選手は、入団を拒否することもできます。

ドラフト会議はいつから始まった?

ドラフト会議の歴史は長く、1965年に第1回ドラフト会議が開催されました

これまでに50回以上も開催されており、様々なドラマが生まれています。

ドラフト会議の目的は「12球団の戦力均衡化」

戦力均衡化

ドラフト会議の目的は、12球団の戦力の均衡化(きんこうか)。

ドラフト会議が行われず、球団と選手が自由に交渉できる環境では、資金力や人気の高い球団に有力選手が集中しやすいです

特定球団に有力選手が集中すると、球団間に戦力格差が生まれます。結果的に、戦力のある上位球団と、戦力不足の下位球団が分かれることに。

上位球団と下位球団がはっきりした状況では、順位争いが面白くありません。ペナントレースの緊迫感やドラマが失われます。さらに、ファンは球場へ通わなくなり、球団収入が減少します。

特定球団に有力選手が集中せず、12球団の戦力均衡化を目的として、ドラフト会議は行われています。

ドラフト会議で指名できる選手

野球選手
  • 過去に日本プロ野球の球団に入団したことがない選手
  • 上記のうち日本国籍を持っている、もしくは日本の中学校・高校とこれに準ずる学校、大学とこれに準ずる団体のいずれかに在学した経験を持つ選手
  • 日本の学校に在学中の場合には、ドラフト会議の翌年3月卒業見込み、大学の場合は4年間在学している選手であること

ドラフト会議で指名できるのは、上記の選手です。

また、高校生と大学生でプロ入りを希望する選手は、所属する連盟への「プロ志望届」の提出が義務付けられています

高校や大学・社会人と、日本でプレーしている選手が指名される印象が強いドラフト会議。

しかし、指名されるのは日本でプレーしている選手だけではありません。海外でプレーする選手が、ドラフト会議で指名されるケースがあります

近年では、メッツ傘下3Aシラキュースに所属していた加藤豪将選手が、2022年10月20日に行われたドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから3位指名を受けました。

指名できる選手がいる一方で、指名できない選手も存在します。

  • ドラフト開催年度の4月1日以降に退学した選手
  • 所属する連盟にプロ志望届を提出していない学生・生徒
  • 社会人野球のチームに入部した選手で中卒や高卒での入部の場合は入部後3年、それ以外の場合は2年を経過していない選手(所属チームが廃部または休部した場合は除く)
  • 前年のドラフト会議で指名し、その後入団に至らなかった選手(当該球団のみ)、いくつかの例外あり

ドラフト会議の流れ

ドラフト会議

ドラフト会議は以下の流れで行われます。

  1. ドラフト1巡目→入札抽選制
  2. ドラフト2巡目以降→ウェーバー方式と逆ウェーバー方式
  3. 育成ドラフト

ドラフト1巡目は「入札抽選制」

最初は1巡目の指名です。ドラフト会議の1巡目は「入札抽選制」で行われます。

入札抽選制

  1. 12球団が一斉に選手を指名
  2. 指名選手が他球団と重複しなかった場合は、指名選手との契約交渉権を獲得(単独指名や一本釣りと呼ぶ)
  3. 指名選手が他球団と重複した場合は、くじ引きによる抽選を行う
  4. 抽選に外れた球団は再度選手を指名
  5. 指名選手が再度重複した場合も抽選を行い、12球団の1位指名選手が決まるまで入札抽選を繰り返す(2回目以降に1位指名された選手を、外れ1位と呼ぶ)

入札抽選制の見どころは、何と言ってもくじ引きによる抽選。

各球団の代表者が、順番に抽選箱から封筒を取り出します。司会の合図で一斉に封筒を開ける瞬間は、大変緊張します

「ドラフト会議=くじ引き」のイメージを持っている方も多いでしょう。

近年は、ドラフト会議前に指名選手を公表する球団も多いです。

指名選手を事前公表することで、他球団を牽制し、競合数を減らすメリットがあります。

【ドラフト会議】1位指名を事前公表するメリットとデメリットを解説【プロ野球】

ドラフト2巡目以降は「ウェーバー方式」と「逆ウェーバー方式」

ウェーバー方式
シーズン順位が最下位の球団から、優先的に選手を指名できる方式。1球団ずつ順番に指名するため、抽選はない。指名した時点で契約交渉権を獲得できる。
逆ウェーバー方式
シーズン順位が1位の球団から指名していく方式。ウェーバー方式と同様、指名した時点で契約交渉権を獲得できる。

※偶数巡目の指名はウェーバー方式、奇数巡目の指名は逆ウェーバー方式

ドラフト2巡目は、ウェーバー方式で行い、最下位球団から指名します。最下位球団から、5位球団→4位球団→3位球団→2位球団→1位球団と順番に指名し、3巡目は逆ウェーバー方式で、1位球団からの指名となります。

最下位の球団から指名するウェーバー方式。ただ、プロ野球にはセ・リーグとパ・リーグ、2つのリーグがあります。ウェーバー方式では、先に指名するリーグを決めなくてはいけません

現在のドラフト会議では、ウェーバー方式で先に指名するリーグは、1年ごとに交互に変わっています(2018年までは、交流戦で勝ち越したリーグが先に指名していました)。

ウェーバー方式で先に指名する権利を「優先権」と呼びます。

例として、2023年ドラフト会議の指名順をご紹介します。まずは、2023年の両リーグの順位を見てみましょう。

順位セ・リーグパ・リーグ
1位阪神オリックス
2位広島ロッテ
3位DeNAソフトバンク
4位巨人楽天
5位ヤクルト西武
6位中日日本ハム

2023年ドラフト会議のウェーバー方式の優先権は、セ・リーグでした。2巡目の最初に指名するのは、セ・リーグ最下位の中日です。3巡目は逆ウェーバー方式で、パ・リーグ1位のオリックスから指名します。

指名順ウェーバー方式(偶数巡目)逆ウェーバー方式(奇数巡目)
1番目中日オリックス
2番目日本ハム阪神
3番目ヤクルトロッテ
4番目西武広島
5番目巨人ソフトバンク
6番目楽天DeNA
7番目DeNA楽天
8番目ソフトバンク巨人
9番目広島西武
10番目ロッテヤクルト
11番目阪神日本ハム
12番目オリックス中日
モトマサ

ウェーバー方式・逆ウェーバー方式を採用することで、ドラフト会議の目的である戦力均衡化につながります。

指名人数のルール

ドラフト会議で指名できるのは、基本的に各球団10名まで。また、全12球団の指名人数の合計は120名までと、上限が決まっています(12球団×10名=120名)。

全球団が「選択終了」するか、全球団での指名人数が120名を超えた時点で、ドラフト会議は終了となります。

基本は各球団10名までの指名。

しかし、他球団が10名を指名する前に選択終了していれば、全球団の合計が120名になるまで、11名以上の指名が可能です。

育成ドラフト

ドラフト会議終了時点で、指名選手が120名未満の場合「育成ドラフト」が行われます。育成ドラフトの正式名称は「育成選手選択会議」。

育成ドラフトに抽選はありません。育成ドラフトでは、奇数巡目の指名はウェーバー方式、偶数巡目の指名は逆ウェーバー方式となります。

【支配下選手登録・育成選手とは】プロ野球1チームの選手人数は?

2024年ドラフト会議の日程は10月24日(木)

2024年のドラフト会議の日程は、10月24日(木)です。

大正製薬株式会社の特別協賛の下で行われ、公式タイトルは「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。大正製薬株式会社の特別協賛は、2013年から12年連続となります。

2024年ドラフト会議の会場は?

2024年ドラフト会議の会場は、発表され次第ご紹介します。

ドラフト会議の司会は関野浩之アナウンサー

アナウンサー

現在、ドラフト会議の司会は、関野浩之アナウンサー。2009年から司会を務めています。

関野アナウンサーは、ドラフト会議の司会に加え、フジテレビONEのプロ野球ニュースでナレーションも担当されています。落ち着いた声は大変聞き取りやすく、プロ野球ファンにとって、おなじみの存在といえるでしょう

歴代のドラフト会議の司会者は?

現在、関野浩之アナウンサーが司会を務めているドラフト会議。これまでのドラフト会議の司会者を見てみましょう。

司会担当した年
伊東一雄(愛称・パンチョ伊東)1965~1991年
渡辺謙太郎1993年
関野浩之2009年~

1992年、1994~2008年は、NPB(日本野球機構)の職員が司会を行っていました。

ドラフト会議の最多指名、競合数は8球団

くじが当たる

ドラフト会議の1巡目指名は入札抽選制。実力があり、人気の高い注目選手は、多くの球団から指名を受けます。

これまでのドラフト会議で、最も多くの球団から1位指名を受けたのは、1989年の野茂英雄氏(新日鉄堺)と、1990年の小池秀郎氏(亜細亜大学)の8球団です

指名数指名球団
※赤字が契約交渉権を獲得
年度選手名ポジション所属結果
8球団ロッテ
大洋
日本ハム
阪神
ダイエー
ヤクルト
オリックス
近鉄
1989年野茂英雄投手新日鉄堺入団
8球団阪神
ヤクルト
ロッテ
中日
日本ハム
近鉄
広島
西武
1990年小池秀郎投手亜細亜大学拒否

【プロ野球ドラフト会議】歴代の指名競合数ランキング一覧【1位指名の最多重複数は?】

まとめ

  • ドラフト会議は、新人選手を獲得するための会議
  • ドラフト会議の目的は、12球団の戦力均衡化
  • ドラフト1巡目は、入札抽選制で行う
  • 2巡目以降は、ウェーバー方式と逆ウェーバー方式で行う
  • ドラフト会議終了時点で、指名選手が120名未満の場合、育成ドラフトを行う
  • ドラフト会議の最多指名は8球団

これまで多くのドラマを生んできたドラフト会議。夢を叶えた選手たちを見ていると、胸が熱くなります。

今後、どのようなドラマが生まれるのか、楽しみで仕方ありません。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。